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2011/03/09

国籍法第一条から第四条

国籍法
(昭和二十五年五月四日法律第百四十七号)

(この法律の目的)
第一条 日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。

(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

(認知された子の国籍の取得)
第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

(帰化)
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

公職選挙法第九条及び第十条

公職選挙法
(昭和二十五年四月十五日法律第百号)

第二章 選挙権及び被選挙権
(選挙権)
第九条 日本国民で年齢満二十年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
2 日本国民たる年齢満二十年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
3 前項の市町村には、その区域の全部又は一部が廃置分合により当該市町村の区域の全部又は一部となつた市町村であつて、当該廃置分合により消滅した市町村(この項の規定により当該消滅した市町村に含むものとされた市町村を含む。)を含むものとする。
4 第二項の規定によりその属する市町村を包括する都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有する者で当該市町村の区域内から引き続き同一都道府県の区域内の他の市町村の区域内に住所を移したものは、同項に規定する住所に関する要件にかかわらず、当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を引き続き有する。
5 第二項の三箇月の期間は、市町村の廃置分合又は境界変更のため中断されることがない。

(被選挙権)
第十条 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。
一 衆議院議員については年齢満二十五年以上の者
二 参議院議員については年齢満三十年以上の者
三 都道府県の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
四 都道府県知事については年齢満三十年以上の者
五 市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のもの
六 市町村長については年齢満二十五年以上の者
2 前項各号の年齢は、選挙の期日により算定する。

地方自治法第十一条

地方自治法
(昭和二十二年四月十七日 法律第六十七号)

第二編 普通地方公共団体
第二章 住民
第十一条 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

日本の国籍を有しない者の地方公務員への任用について

【日本の国籍を有しない者の地方公務員への任用について】
(一九七三年 昭和四十八年五月二十八日 自治公一第ニ八号)
照会者 : 大阪府総務部長
回答者 : 自治省公務員第一課長

照会

1 地方公務員法上、日本の国籍を有しない者を地方公務員として任用することについて直接の禁止規定は存在しないが、公務員の当然の法理に照らして、地方公務員の職のうち公権力の行使または地方公共団体の意思の形成への参画にたずさわるものについては、日本の国籍を有しない者を任用することはできないと解すべきかどうか。
2 前問と関連して公権力の行使または地方公共団体の意思の形成への参画にたずさわる職につくことが将来予想される職員(本市においては、一般事務職員、一般技術職員等)の採用試験において、日本の国籍を有しない者にも一般的に受験資格を認めることの適否はどうか。


回答

1 できないとものと解する。
2 適当でない。

日本国憲法第九三条

日本国憲法
(昭和二十一年十一月三日憲法)

第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

日本国憲法第一五条

日本国憲法
(昭和二十一年十一月三日憲法)

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

国際人権規約 A規約

【経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約】
(International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights)
通称【国際人権規約A規約】【国際人権規約社会的規約】
(一九六六年 昭和四一年十二月十六日採択 一九七六年 昭和五十一年発効)


英文
(前略)
Considering that, in accordance with the principles proclaimed in the Charter of the United Nations, recognition of the inherent dignity and of the equal and inalienable rights of all members of the human family is the foundation of freedom, justice and peace in the world,
(後略)


日本語訳
(前略)
 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会の全ての構成員の固有の尊厳及び平等の且つ奪い得ない権利を認める事が世界における自由、正義及び平和の基礎を為すものである事を考慮し、
(後略)


国際人権規約A規約 英文
国際人権規約A規約 公式日本語訳

造幣局技術職員の外国籍取得について

【造幣局技術職員の外国籍取得について】
(一九五七年 昭和三十二年十月十四日)

 回答者 : 人事院事務総長

『公権力の行使又は、国家意思の形成への参画に携ることを職務内容とする官職以外の官職には、日本の国籍を有しない者でも就くことができるものと解する』

『お示しのような技術的業務を職務内容とする官職については、日本の国籍を有しないものでも就くことができるものと解する』

日本国籍を喪失した場合の公務員の地位について

【日本国籍を喪失した場合の公務員の地位について】
(一九五三年 昭和二十八年三月二十五日 内閣法制局一発第二十九号)

 回答者 : 内閣法制局第一部長高辻正巳

『憲法十五条のいう「固有の権利」は、国民のみが「専有」する権利であると解すのではなく、「奪うべからざる権利」の意味に解するのが正しく、一般に外国人に対して公務員を選定する権利が認められないのは、直接本条から引き出される結論ではない』

公務員に関する当然の法理

【公務員に関する当然の法理】
(一九五三年 昭和二十八年六月二十九日)

回答者 : 人事院事務総長

『公務員に関係する当然の法理として、公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携る公務員となるためには日本国籍を必要とするとの解釈がなされている』

平成五年(行ツ)一六三号

【選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消】
(一九九五年 平成七年二月二十八日 最高裁判所第三小法廷)

事件番号 : 平成五年(行ツ)一六三号

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理    由
上告代理人相馬達雄、同平木純二郎、同能瀬敏文の上告理由について
憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我 が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決・民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に徴して明らかである。

このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかである。

以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定が憲法一五条一項、 九三条二項に違反するものということはできず、その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤りがあるということもできない。所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定に憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法一四条及び右各法令の解釈の誤りがある旨の主張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条二項の解釈の誤りをいうに帰するものであって、右主張に理由がないことは既に述べたとおりである。
以上によれば、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷


裁判長裁判官    可部恒雄
   裁判官    園部逸夫
   裁判官    大野正男
   裁判官    千種秀夫
   裁判官    尾崎行信



平成五年 行(ツ)一六三.pdf